投稿日:2021年7月28日 更新日:2023年10月4日

五月人形 歴史

「節句」とは?意味や由来、日本の五節句における特徴を解説

よく「雛祭り=桃の節句」「こどもの日=端午の節句」と言われますが、そもそも節句とは何かご存知の方は少ないかもしれません。節句について深く知ることで、季節の行事をより大切にお楽しみいただけることでしょう。

そこで、今回は節句の意味や由来に焦点を当てながら、現代の日本に伝わる「五節句」の特徴を詳しく解説いたします。

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そもそも「節句」とは?

節句とは、「季節の節目となる日」のことを言います。もともと奈良時代頃に中国から伝えられた「陰陽五行説」が由来とされており、古くから年中行事を行う節目として大切に扱われてきました。

中国から伝来した当初はたくさんの種類が存在していましたが、日本の文化や生活と混ざり合うなかで少しずつ減少していきます。そして江戸時代になり、幕府が特に重要な以下の節句を公式の祝日に制定したことが、現代に伝わる「五節句」のルーツです。

・1月7日・・・人日の節句(七草の節句)
・3月3日・・・上巳の節句(桃の節句)
・5月5日・・・端午の節句(菖蒲の節句)
・7月7日・・・七夕の節句(星まつり)
・9月9日・・・重陽の節句(菊の節句)

上記の月日に注目してみると、五節句すべてに「奇数が重なる日」が選ばれていることがわかります。これは陰陽五行説において「奇数=陽(発展)・偶数=陰(不安定)」ととらえるなかで、奇数同士を足して偶数になる日は「陽から転じて陰になりやすい」とされていたことから邪気を祓うための行事を行ったことが主な理由です。

ちなみに五節句の制定当初は上記すべてが祝日でしたが、現在は5月5日の端午の節句のみが祝日として残っています。ただし、ほかの4つの節句も世代を超えて大切に扱われ続けており、お祝い事として行事を行う風習は今もなお深く根付いています。

なお、節句ではその季節に合ったものを神前にお供えし、それを家族や親戚などでともに食して楽しむケースが一般的です。また、3月3日には雛人形、5月5日には五月人形の「節句飾り」を設置する風習があり、特に赤ちゃんが生まれて初めて迎える「初節句」は特別な日として盛大にお祝いされる傾向があります。

 

五節句の意味や風習をチェック

続いて、五節句それぞれの主な特徴をまとめました。ぜひ本来の意味合いに注目しながら、それぞれの行事を取り入れてみてはいかがでしょうか。

1.人日(じんじつ)の節句

月日:1月7日
別名:七草の節句

前年の厄を祓い、新年の無病息災を祈願する節句です。節句料理として当日の朝に七草粥を食べる地域が多いことから、「七草の節句」とも呼ばれています。

 

2.上巳(じょうし)の節句


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月日:3月3日
別名:桃の節句・雛祭り

女の子の健やかな成長を祈願する節句です。「桃の節句」や「雛祭り」とも呼ばれるこの節句の歴史は古く、『源氏物語』の時代から人々に浸透していたと言われています。

雛人形を飾り、白酒(甘酒)や菱餅、ひなあられといった行事食を用意してお祝いするケースが一般的です。

〇雛祭りの歴史についてはこちら>

〇雛祭りの食べ物についてはこちら>

 

3.端午(たんご)の節句


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月日:5月5日
別名:菖蒲の節句・こどもの日

五節句のなかで唯一祝日として残っている節句で、男の子の健やかな成長を祈願します。五月人形を飾ったり、勝負事に強くなるように菖蒲湯に入ったりと縁起を担ぐ風習があり、行事食として柏餅やちまきを食べてお祝いします。

〇端午の節句について詳しくはこちら>

 

4.七夕(しちせき)の節句

月日:7月7日別名
別名:笹竹の節句・七夕(たなばた)

「七夕様」「七夕祭り」とも呼ばれるこの節句では、星の祭りとして行事が行われます。古来中国から伝わった織姫星(こと座のベガ)と牽牛星(わし座のアルタイル)の伝説が由来で、それがもともと日本に存在していた「棚機(たなばた):乙女が着物を織って棚に備え、神様に捧げる行事」と結びついたことがルーツとされています。

古くから天の神が降り立つ目印として笹竹が用いられていたことから、いつしか短冊に願い事を書いて笹竹に結び付ける風習が広まっていきました。また、「厄災を水に流す」という意味合いから、地域によっては七夕の終わりに笹竹を川へ流したり燃やしたりするケースも見られます。

 

5.重陽(ちょうよう)の節句

月日:9月9日
別名:菊の節句・栗の節句

最も大きい「陽」の数である「9」が重なるこの日は「重陽」と呼ばれ、不老長寿を祈願する節句です。古くから菊は邪気を払い長寿の効能がある植物と信じられていたことから、菊の香りを移した「菊酒」を飲んだり、菊の被綿(きせわた:綿を菊に被せて一晩置き、朝露を染み込ませたもの)で身体を清めたりといった風習がありました。

また、栗の収穫時期と重なることから「栗の節句」とも言われ、庶民の間では栗ご飯を食べて祝っていたとも言われています。近年ではあまり馴染みがありませんが、かつては五節句を締めくくる重要な行事として盛んにお祝いされていたようです。

節句とともに季節の移り変わりを楽しもう

季節の節目である五節句を暮らしに取り入れることで、気持ちをリフレッシュできるとともに古来の文化を身近に感じられることでしょう。また、親・子・孫といった異なる世代の絆を深める行事としても大切にしていきたいものです。

ぜひそれぞれの節句における意味や風習を踏まえながら、節句ならではの飾り付けや行事食をお楽しみください。

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この記事の監修者
代表取締役 原 英洋

1963年東京生まれ。祖父:原米洲(人間国宝)、母:原孝洲(女流人形師)。慶応義塾大学経済学部卒業後、大手出版社・集英社に入社。1987年父親の急逝により、家業である人形専門店に入社。1988年専務取締役就任。2008年に独立して株式会社ふらここを創業。女性活躍推進活動に注力し、2015年に経済産業省『ダイバーシティ経営企業100選』の認定を受ける。
スタッフ全員に光をあてたチーム体制を大切にし、人形業界全体の再興を見据え、「お客様に望まれる商品が多く作られるようになれば、業界も元気が出てくる。その先駆けになるものづくりを進める」ことをモットーとし、日本の美しい文化を次世代に伝えていくことをミッションとする。

代表取締役 原 英洋