投稿日:2020年11月20日 更新日:2023年9月28日

雛人形

実は「お内裏様」はふたりいる!?本当の意味や特徴をご紹介

「お内裏様」と聞くと、雛飾りの上段に飾られる男性の雛人形を思い浮かべる方が多いかもしれません。しかし、実はその解釈は誤りで、そもそも「お内裏様」という表現自体が間違いであるともいわれています。

この記事では雛飾りの基礎知識を踏まえながら、お内裏様の本当の意味について詳しくまとめました。さらには男雛・女雛それぞれの特徴にも注目しながら、お人形や付属品のひとつひとつにこだわったふらここオリジナルの雛飾りを3点ご紹介いたします。

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そもそも雛飾りの意味とは

お内裏様の本当の意味を解明する前に、まずは雛飾りが何を表しているのか基礎知識を押さえておきましょう。

実は、雛飾りは「天皇の結婚式」を模したものです。つまり、主役として飾られる男雛と女雛は天皇陛下と皇后陛下を表しており、天皇皇后のような幸せな結婚を願うという想いが込められています。また、雛人形は人間の厄を引き受ける役割を持っており、お子さまの健やかな成長への願いを込めて飾られるケースが一般的です。

雛飾りには男雛と女雛の人形のみを飾る「親王飾」のほか、「五人飾」や「十人飾」などさまざまな種類があります。複数の段がある場合に配置されるのは、童謡の『うれしいひなまつり』でもお馴染みの三人官女や五人囃子(ばやし)など。どちらも実際に存在した役職で、三人官女は天皇皇后をサポートする役割を、五人囃子は楽器の演奏によって結婚式を盛り上げる役割を持っています。

ちなみに、その歌詞に登場する「右大臣」は対になる「左大臣」とともに弓や刀を持つ人形にあたります。しかし、実際の「右大臣・左大臣」はかなり位の高い役職であったことから、護衛道具を持つことはなかったのではないかと考えられています。そのため、天皇皇后を護衛する役職は正式には「随身」と呼ぶのが正しいでしょう。

 

お内裏様って誰のこと?

では、お内裏様とは誰のことなのでしょうか。童謡『うれしいひなまつり』の歌詞の中に「お内裏様とお雛様 二人並んですまし顔」という部分があることから、「お内裏様=雛飾りの上段に飾られる男性の雛人形」と解釈している方が多い傾向があります。

しかし、そもそも内裏(だいり)とは天皇が儀式や執務などを行う私的区域の名称で、現代における皇居の古い呼び名のこと。雛人形が模している天皇の結婚式も、内裏の中にある紫宸殿(ししんでん)で行われたものとされています。

そのため「お内裏様」という表現は厳密には間違いであり、「天皇皇后(男雛と女雛)両方のことを示す」と捉えるのが好ましいです。ちなみに、歌に登場する「お雛様」は上段に飾られる女性の雛人形を指すと思われやすいですが、実際は雛飾りの人形全体の総称であることも覚えておくとよいでしょう。

 

持ち物から見るお内裏様(男雛・女雛)の特徴

お内裏様の本当の意味を把握されたら、ぜひお人形に施された装飾にも注目してみましょう。天皇と皇后を模したお内裏様のお人形には、平安貴族ならではの格式高い持ち物が身に着けられています。

【男雛の持ち物】

・笏(しゃく)
男雛が右手に持っている、細長い板のようなもの。正装である束帯着用時に、威儀を正すことを目的として身に着ける大切なアイテムです。実はその板の裏側には、儀式の順番や発言内容などを記したメモを貼って利用していたともいわれています。

・纓(えい)
男雛の頭に飾られる冠の後ろに付いている、薄い羽根状の付属品のこと。随身の冠に付けられているものとは種類が異なり、天皇だけが身に着けられる特別な纓を「立纓(りゅうえい)」と呼びます。

・飾剣(かざたち)
儀式用に身に着ける剣のことで、左側の腰に差します。刀身に刃は付いておらず、なかには珠などの装飾が施されたタイプもあります。

【女雛の持ち物】

・桧扇(ひおうぎ)
桧(ひのき)の薄い板で作られた扇子のこと。男雛の笏と同様に、大事なことを記したメモを挟んで用いられていたと言われています。

・釵子(さいし)
女雛の髪上げ具として用いられている、ティアラのような金属板のこと。平安時代ではこの釵子を紫の紐と3本の簪(かんざし)で留めて、額櫛(ひたいぐし)を付けて髪を後ろに流すヘアスタイルが貴族女性の間で主流となっていました。業界において、この金属の飾りは「玉串」と呼ばれています。

 

コンパクトながらも本格的なふらここの雛人形

ふらここでは、コンパクトでありながらも宮中の結婚式を本格的に表現した雛飾りをご用意しております。そのなかから、お内裏様の上品で愛らしい表情が際立つ3タイプの商品をピックアップいたしました。

・れいれい 京刺繍・四君子

商品名:れいれい 京刺繍・四君子(RE-01124500)
サイズ:横幅42.5×奥行25×高さ25cm
価 格:84,500円(税込92,950円)

~商品の特徴~
お衣装に施されている「四君子」は、「蘭・竹・菊・梅」の四つの徳のある草木を描いた、古くから親しまれる縁起のいい絵柄です。美しい刺繍が、華やかなれいれいのお顔に良く映えています。

お屏風には「雪輪に梅」の刺繍が施されており、雪は”豊作”の吉祥、梅は”子孫繁栄”の象徴とされ、春を代表する吉祥文様です。ナチュラルな色合いの飾り台なので、どのようなインテリアにも馴染みやすいでしょう。家の中がほっと温かくなるような雰囲気を持つ雛人形です。

https://www.furacoco.co.jp/hina/product/RE-01124500

・めいめい 花に小鳥の丸紋

商品名:めいめい 花に小鳥の丸紋(ME-01320701)
サイズ:横幅42.5cm×奥行31.5cm×高さ36cm 
価 格:180,500円(税込198,550円)

~商品の特徴~

凛とした表情のお内裏様を三人官女と五人囃子がにこやかに見守る、十人飾の雛人形です。お衣装には「花に小鳥の丸紋」と呼ばれる大変縁起の良い柄を使用し、春の日差しを思わせるようなやわらかな色合いに仕上げました。

優しいベージュ色の飾り台は、さまざまな雰囲気のお部屋に合わせやすいシンプルな木目調を取り入れています。お屏風に描かれた伝統的な京刺繍である「梅にまり」の模様が、お人形の愛らしさをより一層引き立てます。

https://www.furacoco.co.jp/hina/product/ME-01320701

・ことこと 琳派名物裂

商品名:ことこと 琳派名物裂(CT-01424401)
サイズ:横幅42.5×奥行40.5×高さ34.5cm
価 格:233,000円(税込256,300円)

~商品の特徴~
はっきりした目元と聡明なお顔が特徴的なことこと。優しい笑顔のお人形が並んだ、十五人飾りの雛人形です。京都・西陣織で織り上げた、格調高い琳派名物裂のお衣装を着せました。はっきりとした色合いのお衣装が絶妙なバランスで組み合わさり、色彩豊かでありつつ上品な仕上がりになっています。

お屏風には、蘭・竹・菊・梅の四君子(しくんし)の刺繍入り。ナチュラルな色合いの飾り台に、お衣装の色味がよく映えます。可愛らしさと品の良さを兼ね備えた、年に一度の大切なお祝いにぴったりの雛人形です。

https://www.furacoco.co.jp/hina/product/CT-01424401

 

お内裏様の表情やお衣装にも注目した雛人形選びを

雛人形の「お内裏様」が、実は雛飾り上段に飾られる男雛と女雛の両方を指していることに驚かれた方も多いのではないでしょうか。また、お内裏様が天皇皇后を模したお人形であること、さらには持ち物などの特徴にも注目してみると、普段とは違った角度から雛飾りをお楽しみいただけるかもしれません。

ふらここでは、お内裏様をはじめとするお人形の表情やお衣装、付属品などひとつひとつにこだわった、豊富な種類の雛飾りをご用意しております。ぜひお好みの雰囲気やご予算に合わせて、お子さまにぴったりな雛人形選びをお楽しみください。

\付属品や道具類にも、一つ一つ意味や役割があるってご存じでしたか?


この記事の監修者
代表取締役 原 英洋

1963年東京生まれ。祖父:原米洲(人間国宝)、母:原孝洲(女流人形師)。慶応義塾大学経済学部卒業後、大手出版社・集英社に入社。1987年父親の急逝により、家業である人形専門店に入社。1988年専務取締役就任。2008年に独立して株式会社ふらここを創業。女性活躍推進活動に注力し、2015年に経済産業省『ダイバーシティ経営企業100選』の認定を受ける。
スタッフ全員に光をあてたチーム体制を大切にし、人形業界全体の再興を見据え、「お客様に望まれる商品が多く作られるようになれば、業界も元気が出てくる。その先駆けになるものづくりを進める」ことをモットーとし、日本の美しい文化を次世代に伝えていくことをミッションとする。

代表取締役 原 英洋